不倫にはタイプがあるのか? 5つの形から見る男女の心理

不倫は、夫婦関係を揺るがす最も深い傷の一つです。結婚生活の中で起こり得る非常につらい出来事であり、パートナーの心を深く傷つけ、夫婦の絆や信頼を大きく揺るがします。

「不倫」と聞くと、多くの人は第三者との肉体的な関係を思い浮かべるかもしれません。

しかし実際には、それ以外にも感情的・精神的なつながりなど、さまざまな形が存在します。ここでは、まず不倫の基本的な意味を整理したうえで、その後に5つのタイプから男女の心理を見ていきます。

不倫とは？

「不倫」の意味は、法律・社会・心理といった視点によって少しずつ異なります。ただし共通しているのは、不倫とは、結婚または恋愛関係における「独占的な約束」を裏切る行為である、という点です。

1．法律の観点から

法律上、離婚原因などで問題となる「不貞行為」とは、一般的に配偶者以外の相手と自由な意思に基づいて性的関係を持つことを指します。

日本では民法第770条により、不貞行為は離婚の正当な理由とされています。原則として、単なる食事やメッセージのやり取りだけでは、法律上の「不貞行為」には当たりません。

2．社会・倫理の観点から

社会的・倫理的には、肉体関係がなくても「心の不倫」が問題とされることがあります。

たとえば、秘密裏にメッセージをやり取りしたり、パートナー以外の人に深い感情を打ち明けたりするなど、当事者が「裏切りだ」と感じる行動は、不倫の一種とみなされる場合があります。

3．心理学の観点から

心理学的には、不倫は現在の関係における感情的・性的な満たされなさの表れとされることがあります。

承認欲求、新しい刺激への渇望、共感や理解を求める気持ちなど、人が何かを欠いているときに起こりやすい行動とも言われます。

つまり、不倫は単なる裏切りではなく、関係の歪みや心の空白を示すサインでもあるのです。

4．法律上の不貞行為との関係

これから説明する「5つの不倫タイプ」は、主に心理・倫理的な観点からの分類です。

• 感情的な不倫

• エネルギッシュ・アフェア

• 精神的な浮気

• 視覚的な浮気

• マイクロ浮気

といった形は、夫婦関係に深刻な影響を与え得る一方で、必ずしもすべてが法律上の「不貞行為」に当たるとは限りません。

離婚原因や慰謝料の有無は、こうした行動の内容に加え、夫婦関係全体の経過・他の事情などを総合的に見て判断されます。

あなたはまだ知らないかもしれない5つの不倫タイプ

ここからは、代表的な5つのタイプについて見ていきます。これらはあくまで傾向を整理したものであり、現実のケースでは複数の要素が重なり合うことも少なくありません。

1．感情的な不倫（エモーショナル・アフェア）

不倫や裏切りと聞くと、多くのカップルはまず肉体的な関係を想像します。

しかし実際には、**心のつながりによる裏切り＝感情的な不倫（エモーショナル・アフェア）**も存在します。

このタイプでは、必ずしも性的な関係はないものの、長期的で深い感情的な親密さが生まれています。相手と頻繁に連絡を取り合い、悩みを打ち明け、気持ちを共有するうちに、お互いの心が強く結びついていくのです。

感情的な不倫は、やがて肉体的な関係に発展する危険性もあり、たとえ一線を越えていなくても、本来のパートナーシップに悪影響を及ぼします。心の親密さは、ときに肉体的な関係よりも強い結びつきを生み出すからです。

この関係は、しばしば「ただの友達」と見なされ、一見無害に見えるため、周囲にも本人にも気づかれにくいという特徴があります。

感情的な不倫に陥っている可能性のあるサインの例

• 異性の同僚や知人と、仕事の話ではなく個人的な話題をすることが増えた

• パートナーではない相手に、自分の結婚生活や夫婦の悩みを詳しく打ち明けている

• パートナーでない異性と、性的な話題や経験について語り合うことがある

• 特定の異性の性格や外見に強く惹かれていると感じる

• パートナー抜きで、特定の異性の友人と頻繁に連絡を取ったり、二人きりで食事や遊びに出かけたりする

• パートナー以外の異性に魅力を感じているのに、自分から距離を取ろうとしない

• パートナー以外の異性に対して、過度な精神的な支えや慰めを与えている、あるいは自分がそのような支えを求めている

これらの行動は一見「ただの友人関係」に見えるかもしれませんが、そこに感情的な親密さや依存が生まれている場合、すでに感情的な不倫の段階に入っている可能性があります。

スマートフォンやパソコンは、感情的な不倫を始めやすく、また隠しやすいツールです。

もしパートナーが突然スマホやパソコンを使う時間が増え、特に夜遅くや早朝など不自然な時間帯にメッセージや通話をしている場合には注意が必要です。

なお、相手の同意なくスマホやSNSアカウントにログインしたり、DMを盗み見たりすることは、プライバシー侵害や不正アクセスとなるおそれがあり、決して行うべきではありません。

2．エネルギッシュ・アフェア（エネルギー型の不倫）

エネルギッシュ・アフェアは、目に見えにくいものの、長く続くほど夫婦関係に影響が表れてくるタイプです。

ここでは、配偶者以外の人に対して性的な想像や関心を向け、その人に心のエネルギーを注いでしまう状態を指します。

たとえば、次のような行動が挙げられます。

• 頭の中で特定の異性を何度も思い浮かべている

• 配偶者との性行為中に、別の人を想像してしまうことが多い

• 魅力を感じる相手がいそうな場所に、意識的に足を運んでしまう

• 気になる相手と目を合わせようとしたり、その人のSNSを頻繁にチェックしてしまう

これらは一見すると「妄想の範囲」で無害に思えるかもしれません。しかし、心の中で他の誰かを追い続けるほど、現実の配偶者との関係への関心や感謝は薄れ、少しずつ信頼関係がむしばまれていきます。

多くの不貞行為は、このような「心の裏切り」から静かに始まるとも言われます。

もし自分に心当たりがあると感じたら、一度このように自問してみることが大切です。

「もし自分のパートナーが同じことをしていたら、私はどう感じるだろうか。」その答えが、あなたが本当に大切にすべきものを教えてくれるかもしれません。

3．精神的な浮気

精神的な浮気は、現代の結婚生活を壊す大きな要因の一つです。

ここでいう精神的な浮気とは、意図的かつ意識的に、パートナー以外の人との間に感情的な満足を求める行為を指します。

• 心の中で特定の相手との関係を何度も想像する

• 「機会さえあれば、実際に関係を持ってしまうかもしれない」と自覚しながら、その相手への想いを手放さない

といった状態が続くと、現実の夫婦関係は次第に二の次になっていきます。

このタイプの浮気は、外からはほとんど見えません。しかし本人の心の中では、すでにパートナー以外の相手と「疑似的な恋愛関係」を築いているケースも少なくありません。

4．視覚的な浮気

視覚的な浮気をする人は、「実際に手を出していないから大丈夫」と考えがちです。

視覚的な浮気とは、他の異性を強く性的な目で見たり、画像や映像を通じて何度も想像を繰り返したりする行為を指します。

• 街中で特定の異性を追い続けて見てしまう

• SNSや動画サイトで、特定の人の姿ばかりを好んで閲覧する

• そうした対象に、現実の配偶者以上の魅力や価値を感じてしまうといった状態が続くと、少しずつ現実のパートナーへの関心が薄れ、やがて具体的な行動に移る可能性も高まります。

「見ているだけだから大丈夫」と軽く扱ってしまうと、その延長線上にあるリスクを見落としやすくなります。

5．マイクロ浮気

マイクロ浮気とは、一見無害に見えるものの、積み重なると配偶者やパートナーの信頼を大きく損なう、おもにオンライン上でのささいな行動や振る舞いを指します。

マイクロ浮気には、明確な肉体的接触はありません。その代わりに、感情的・デジタル的なやり取りが中心です。

たとえば、次のような行動が挙げられます。

• 魅力を感じる異性のDM（ダイレクトメッセージ）を頻繁にチェックする

• 特定の異性のSNS投稿にだけ、過剰に「いいね」やコメントをする

• パートナーには見せないような写真やスタンプ・メッセージを、特定の相手にだけ送る

• 「異性としては意識していない」と言いながら、相手が喜びそうな反応を意識的に続けている

これらは一つひとつを見ると、浮気かどうか判断しにくい行動かもしれません。しかし全体として見たとき、パートナーとの関係よりも「オンライン上の特定の相手」を優先している状態であれば、それはすでに信頼を損なう行為となり得ます。

なお、繰り返しになりますが、パートナーのアカウントに無断でログインする、パスワードを推測してDMを盗み見るといった行為は、プライバシー侵害や不正アクセスとなるおそれがあります。

相手の権利を侵さない形で、自分たちの関係を見つめ直すことが重要です。

まとめ：浮気の形はいくつもある。大切なのは「気づくこと」

「浮気」や「不倫」という言葉を聞くと、多くの人は肉体的な裏切りを思い浮かべます。しかし実際には、感情・精神・視覚・エネルギー・デジタル上など、目に見えない形で信頼を壊す行動が数多く存在します。

スマホやPCの使い方にも、感情的な距離の変化は現れやすく、それが心の不倫のサインとなることもあります。ただし、パートナーのプライバシーや権利を侵害する形で監視や確認を行うことは、別のトラブルを生むおそれがあります。

夫婦関係という観点から見ると、浮気の本質は「信頼の破壊」にあります。 肉体関係の有無だけでなく、「心の距離」がどこにあるのかが大きな問題になります。

一度壊れた信頼を修復するのは決して簡単ではありません。

しかし、互いの気持ちを正直に見つめ直し、小さな違和感に早く気づくことで、関係を守れる場合もあります。浮気の種類やパターンを知ることは、「自分とパートナーをより深く理解する第一歩」とも言えるでしょう。

「不倫」についてもっと深く理解したい方、またはご自身の結婚生活を立て直すためにサポートが必要な方は、ぜひ専門家への相談もご検討ください。あなたの状況に寄り添い、最善の解決策を一緒に考えていくことができます。